![]() 源氏物語ゆかりの地・宇治を巡る |
源氏物語とは 洛中を巡る |
源氏物語宇治十帖について |
![]() ![]() 源氏物語五十四帖のなかで、第四十五帖「橋姫」から最終の「夢浮橋」までの十帖は宇治の地を舞台に物語が展開するため「宇治十帖」と呼ばれています。 光源氏の子・薫と孫・匂宮が主人公になっています。 |
宇治十帖のあらすじと古跡めぐり |
![]() 「橋姫」(はしひめ) 自分の出生に不安を覚える薫君は、光源氏の異母弟・八宮のもとに通うようになります。八宮が不在の折に、二人の姫君を垣間見た薫君は、姉大君に心ひかれ、この話を聞いた匂宮も、姫君へのあこがれをいだかきます。 薫は八宮の山荘の女房から、自分が光源氏の本当の子ではないと知らされ、驚きうちひしがれてしまいます。 ■橋姫古跡 橋姫神社は宇治橋西詰にある縁切りの神として有名な神社です。本来は橋の守り神で、古くは宇治橋三の間に祀られていたといいます。 |
![]() 匂宮は初瀬詣の帰りに宇治で薫とともに宴を催します。京へ帰った匂宮は大君の妹中君と文を取り交わすようになり心を惹かれていきます。やがて、八宮は薫に姫たちの行く末を頼みながら、その生涯を閉じます。 薫は、姫たちに心を配りますが、やがて姉大君への思いが育っていきます。薫は大君に、匂宮と中君の結婚をすすめるとともに、大君への思いもうちあけます。 ■椎本古跡 京阪宇治駅の東南にある、彼方(おちかた)神社が椎本の古跡です。諏訪明神を祭神としています。古くは宗像の神を祀ったといいます。 |
![]() 「総角」(あげまき) 八宮の一周忌の日に、薫は大君に想いを訴えます。しかし大君はこれを断り、妹の中君との結婚を勧めます。薫は、匂宮と中君が結ばれることで大君の心が得られるものと考え、二人を結ばせます。しかし、匂宮の訪れが途絶えたことに心を痛め、大君は病の床に伏してしまいます。 薫の献身的な看護もむなしく大君は、薫に抱かれて死んでしまいます。 ■総角古跡 宇治上神社の北にあります。物語では、宇治八宮山荘は平等院の対岸のあたりだと想定していたようです。 |
![]() 「早蕨」(さわらび) 父・八宮についで姉大君も失った中君は、寂しい日々を送ります。薫は、大君の亡き面影を中君に認め、複雑な思いになります。 やがて、中君は匂宮の二条院に迎えられ幸せな日々を送りますが、薫がたびたび顔を見せるようになり、匂宮は嫉妬を感じるようになります。 ■早蕨の古跡は、宇治神社の北側にあります。 |
![]() 「宿木」(やどりぎ) 匂宮は左大臣の娘と結ばれ中君も寂しい思いをします。薫は中君に心ひかれますが、匂宮の子を宿していた中君は、大君に生き写しの異母妹浮舟の存在を告げます。 薫は帝の娘二宮を正室として迎えていましたが、宇治を訪ねた折りに浮舟の姿を垣間見て、大君に生き写しの姿に強く心をひかれます。 ■宿木の古跡は宇治川の左岸上流にあります。 |
![]() 「東屋」(あずまや) 浮舟には、求婚者がありましたが、それは浮舟の養父の財産を目的としたものでした。その縁談が破れ、浮舟は中君のもとに身を寄せます。そこで偶然出会った匂宮に言い寄られ、驚いた母は浮舟を三条の東屋に隠します。 浮舟の消息を聞いた薫は、浮舟を引き取って宇治に移しますが、浮舟を愛しく思いながらも大君の面影がよみがえり思わず涙するのでした。 ■京阪宇治駅の東南にある東屋観音と呼ばれる石像が東屋の古跡です。 |
![]() 「浮舟」(うきふね) 匂宮は、浮舟のことが忘れられず、その行方を捜します。宇治で薫にかくまわれているのを知り、闇に乗じて薫を装い浮舟と契りを結びます。最初は驚いた浮舟ですが、次第に匂宮の情熱に引き込まれていきます。 このことを知った薫は浮舟を見捨てることなく、匂宮を見守ります。誠実な薫と情熱的な匂宮の間で悩み苦しむ浮舟は、ついに死を決意して屋敷を出ます。 ■三室戸寺の境内にあるのが浮舟の古跡です。昔は奈良街道沿いに浮舟社という社があり水上交通の守り神だったようです。 |
![]() 「蜻蛉」(かげろう) 浮舟の姿が見えなくなって、人々は慌て戸惑いますが、消息がわからないまま、形ばかりの葬儀を済ませます。匂宮は悲嘆の余り病床に伏してしまいます。 薫は、亡くなった大君、匂宮に渡してしまった中君、行方も知れずに消えてしまった浮舟と、八宮ゆかりの姫君たちのことを思い、物悲しい思いに沈んでしまいます。 ■京阪宇治駅から三室戸寺に向う途中にある蜻蛉石が蜻蛉の古跡です。自然石に、阿弥陀三尊が線彫りしてあります。 |
![]() 「手習」(てならい) 死ぬつもりで宇治の川べりを徘徊し倒れていた浮舟は、横川の僧都一行に助けられ、手厚い介抱を受けて回復しますが、心ならずも生き長らえたことを悲しみ、剃髪して尼になり、静かに暮らします。やがて浮舟の消息は、悲しい思いで沈んでいる薫の耳に入ります。 ■宇治橋から三室戸寺に向う府道に建てられた石碑が古跡です。手習いの筆の穂先のような形をしています。 |
![]() 浮舟が生きていることを知った薫は、浮舟の弟小君に、自分の想いを書いた文を持たせます。浮舟の心は思い乱れますが、人違いだといって小君に会おうとはしません。 小君の話を聞いた薫は、文を出さねばよかったと気落ちし、自分がかつてそうしたように、だれかが浮舟をかくまっているのではないかと思い悩むのでした。 ■浮橋は現実には存在しない橋ですが、古跡の碑は宇治橋西詰の紫式部像と並んで建てられています。 |
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